Amazonのポイント戦略

Date:2019.03.01

これまで迅速な配送、低価格、豊富な品ぞろえで売り上げを順調に伸ばしてきたアマゾンですが、ついにポイントプログラムを本格的に始動することになりました。以前からもセラー側でも商品毎にポイント倍率を設定する機能はありましたが、今回の取り組みではアマゾンで販売されている商品全て(アマゾンの直販商品も含む)がポイント付与の対象となります。2019年5月23日(木)(予定)より最低1%のアマゾンポイントが義務付けられ、6月3日(予定)時点でAmazonポイントが未設定の商品に対してはアマゾン側で自動的に1%相当分のポイントが付与されるよう自動的に設定されます。

アマゾンのポイント施策導入にはどんな意図があるのでしょうか?

 

リピーター対策

楽天市場、Yahoo!ショッピングをはじめ、日本の大手ECモールではどこもポイント施策に力を入れています。楽天市場ではスーパーSALEやお買い物マラソンで購入店舗数に応じてポイント倍率が上がる施策を長らく実施していますし、0と5の付く日は楽天カード保有者であれば通常よりポイントが付与され、さらにアプリ経由で買い物すると+1%のポイントがいつでも加算されるなど、ユーザーに対してかなり積極的にポイントを付与しています。

一方、Yahoo!ショッピングも5の付く日はポイント還元率が高くなり、さらにソフトバンクユーザーであればいつでも10倍のポイントが還元されます。その他にも突発的にポイント還元倍率が高くなるイベントを頻繁に開催しています。

これら大手ECモールの最大の目的はリピーター対策です。高い還元率を武器に、まずは商品を購入してもらい、そのポイントを獲得したユーザーに繰り返し同じモールを利用してもらう事で固定客として定着させる狙いがあります。ネットで商品を購入するユーザーはいつも利用するモールが決まっている人が多く(特に日用品などの消耗品)、特定のモールでの購買習慣が身につけば、その他の商品を購入するときに候補として挙がってきます。このようにリピーターを育成する上でポイント施策は非常に重要であり、アマゾンも今以上の固定客を獲得するために導入に踏み切ったと考えられます。

 

クレジットカードを絡めた優遇策

今となっては日本国内で最大の保有数を誇る楽天カードですが、ポイント施策を上手に絡めながらクレジットカードの保有者数を急速に増やしてきました。クレジットカードの保有数が増え、買い物する度にポイントが貯まる(楽天以外の実店舗で購入しても楽天ポイントが貯まる)と、さらにそのポイントを利用しようと、また楽天市場で買い物をする。。。クレジットカードをフックとしたポイント戦略はユーザーの購買意欲を活性化させるためには非常に効果的な手法だと言えます。

さらに、クレジットカードの発行枚数が増えるにつれ、決済手数料で利益を獲得できるようになるため、金融事業という物販やモール運営とは別のビジネスモデルへと派生させていくことが可能となります。恐らくアマゾンもポイントとクレジットカード発行枚数の増加は視野に入れていると思われます。

 

アマゾンポイント利用店舗の拡大

こちらもすでに楽天市場が積極的に取り組んでいますが、有名量販店や飲食チェーン店などでの買い物や食事で、アマゾンのポイントが利用できるようにしたいという方向性も予測できます。アマゾン内のみならず、実店舗でポイントが利用できるようになることで、アマゾンポイントの価値自体の向上に繋がります。

アマゾンポイントを保有するユーザーの数が増えれば増える程、アマゾン以外で利用できるというニーズは自然と高まってくるため、そのニーズに応える対策の一環として実店舗でアマゾンポイントが使えるようになっていくのは自然な流れだと考えられます。

 

楽天&Yahoo対策

すでにポイント施策では先行している楽天市場とYahoo!ショッピングですが、これらの競合ECプラットフォーマーの既存ユーザーの取り込みにも影響を与えそうです。ネットで商品を購入するユーザーの中で、ポイント獲得を重視する人はいまだに多く存在し、ECモールで獲得できるポイントが多くなるにつれ、そのモールの利用頻度が高くなるということは容易に考えられます。

 

ポイントコストの負担について

最低でも1%以上のポイントを付与することが義務付けられることとなるこの施策ですが、情報が解禁されて以降、独占禁止法に触れる可能性がないかを公正取引委員会が調査を進めているというニュースが舞い込んできました。

調査の進み具合によっては、プログラムの導入自体が遅れる可能背もあるが、セラー側の立場としては実質、手数料の値上げになるので、今後の動向を注意深く見守っていきたいところです。

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